相談の事例

事業主夫人の嫌がらせにより、うつ病を発症し、仕事を継続することが困難となり、解雇に追い込まれた事案

≪事件概要≫

Ⅹさんは、A医院に勤務して9年になります。A医院では主に受付事務を担当していました。A医院は、Y院長と、その夫人である副院長と従業員が数名います。 Ⅹさんは採用された直後から、副院長の嫌がらせに悩まされるようになりました。副院長に言わせると性格の不一致だということです。しかし、職場で、事業主から性格の不一致で嫌がらせをされてはたまりません。

事業主は、労働者との契約関係において、誠実に勤務する義務を求めると共に、労働者に対しては、適切な就労環境を確保する義務を果たさなければなりqapareません。 更には、ご機嫌をとっていないと、有休の請求もままならない職場でした。子供の運動会への参加のために、2ヶ月前から「お願い」していても、嫌味を言われるという実態で、結婚や弔事でもないと、有休は取れない環境でした。労働基準法は、有休の請求に対して事業主の拒否権を認めていません。極めて限定的に、取得時期の変更を求める権利を認めているだけです。 採用の翌年には、神経性の胃潰瘍で2回も入院しなければならない状況に追い込まれても、母子家庭なるが故に、耐え続けました。最近の学校のいじめと同様に、こうなると更に追い討ちをかけるようにいじめ・嫌がらせは激しくなりました。

しかし、耐えられなくなったⅩさんは、近所の行政書士・社会保険労務士や労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談して、退職をも覚悟で、A医院に対し、改善を求める要望書を内容証明郵便で送り、その日から有休を請求して休業に入りました。

この時点で、NPO労働相談センター石川の専門スタッフ(…弁護士・社会保険労務士・労組役員等の専門スタッフがいます)に解決支援の要請があり、以降、院長との数回の文書のやり取りを行いましたが、A医院は、遂に解雇に踏み切りました。 Y院長は、医院という地域の評価を気にする職種でも有ったので、NPO労働相談センター石川の専門スタッフは、Y院長はあっせんに応ずる姿勢ありと判断し、Ⅹさんの希望もあって、裁判ではなく、県の労働委員会のあっせんを利用することにし、あっせん申請書を提出しました。 A医院は、比較的早く、あっせんに応ずる旨を回答してきました。

≪解決内容≫

労働委員会のあっせんは、労働局のあっせんと異なり、中立・労・使の三者構成で、その効果もあって解決率が60%と高い数値を示しています。 Ⅹさんは、本来ならば復職を考えたいところであったが、事業主との関係が破綻している以上、復職は困難と判断し、当面の生活費を含めての金銭解決に応じる姿勢を示しましたが、提示された解決金の水準は納得できるものでありませんでした。 しかし、解決の機を逸することになりかねないと判断し、初回から○○○万円を超える金額提示してきたことも踏まえて、和解合意書に署名しました。